釧路あれこれ

最終更新日:2016年1月6日

元釧路地方検察庁検事正 小川 修
 
1 石川啄木は,釧路を「さい果て」の地と詠んだが,「さい果て」が「気候が悪くて住みにくい」という意味であるなら,全く違っている。都会の喧噪もなく,自然を満喫できる数少ない町,それが釧路である。
2 釧路は天候が悪いから住みたくないと言う人がいるが,その考えは間違っている。釧路の7,8月の平均気温は21度位だから,真夏となっても過しやすいことこの上もない。冬は,最低気温がマイナス15度前後で,寒いと思えば確かに寒いが,晴天の日が多く,年間日照時間は,札幌や旭川より長い。また,日高山脈が日本海側の雪雲をがっちり阻止してくれるお陰で,雪が極端に少なく,道がいつも乾燥しており,冬の間も,趣味のジョギングを続けられた。こんな過しやすい気候はほかにあるだろうか。
3 釧路空港のすぐそばに,釧路市丹頂鶴自然公園がある。そこに行けば,一年中,いつでも自然のままのタンチョウを見ることができるし,園長さんの高橋良治さんからタンチョウにまつわる面白い話を聞くことができる。タンチョウは,世界中探しても釧路周辺でしか見ることができない貴重な鳥である。種として貴重であるばかりでなく,その美しさ,高貴さ,優雅さは,他に例えようがない。タンチョウに比べると,白鳥は,下品で粗野に見える。高橋さんは,「タンチョウはタンチョウヅルとは呼ばない。世界中に15種類の鶴がいるが,名前に『鶴』が付かない鶴は『タンチョウ』だけだ。」と胸を張るが,自分が管理している公園が「丹頂鶴自然公園」であるところが面白い。
4 釧路のサンマは,本当にうまい。釧路の人は,「よそのシシャモは脂肪が多くてまずい。釧路沖のシシャモが最高。」などと自慢するが,よそのシシャモと食べ比べをしていないので話の真偽は不明である。しかし,サンマは,幼いころから各地で食べているので,釧路のサンマが絶品であることはよくわかる。塩焼きでも,刺身でもこんなにうまいサンマをよそで食べたことはない。
5 カラスの中には,かなり凶暴なのがいるようだが,釧路のカラスは,決して人を襲わない。人を威嚇することも絶対にない。子供のころ,カラスを飼っていたことがあり,力ラス即悪者という偏見は持っていないが,最近のカラスは全国的に悪い性格になったように思える。釧路に来て間もなく,春採湖畔の散歩コースすぐそばの木にあるカラスの巣を見付け,そこを通る時は警戒していたが,危険な兆候は全くなかった。釧路のカラスは,昔気質で,付き合いやすい。

 本寄稿文は,研修(第610号 1999年4月号)【とびらの言葉】に掲載されたものを誌友会事務局研修編集部の許可を得て転載しております。

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