検察庁には、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁の4種類があります。
最高検察庁は、最高裁判所に対応する検察庁で、全国で1庁しかなく、東京にあります。
高等検察庁は、高等裁判所に対応する検察庁で、全国に合計で8庁あります。
地方検察庁は、地方裁判所・家庭裁判所に対応する検察庁で、各都道府県にあり、全国に合計で50庁あります(北海道は4か所)。
ニュースなどで報道される刑事事件の大部分は、地方検察庁が取り扱っています。
検察庁では、検察官と検察事務官などが働いています。
〇検察官(検事と副検事):全国に約3000人
検事の多くは、司法試験に合格して、必要な研修(司法修習といい
ます。)を終えた人の中から選ばれます。
副検事は、検察事務官などの仕事をした後、副検事になるための試験
に合格した人です。
〇検察事務官:全国に約9000人
検察事務官は、国家公務員試験という国の役所で働くため
の試験に合格した人の中から、検察庁で働くことになった人
です。
検察官は、社会の利益を守る代表者として、みんなが安心して暮らすことができるように、次のような仕事をしています。
(1)事件の捜査をする
警察官と協力して、起こった犯罪(事件)を調べ、何があったかを明らかにします。
具体的には、被疑者(罪を犯したと疑われている人)や参考人(被害者や目撃者など)の取調べ、証拠品の捜索や差押え(被疑者の家などを調べて、捜査に必要な証拠品を集めること)、さらにその分析・検討などをします。
(2)刑事裁判にかけるかを決める
捜査の結果に基づいて、被疑者を、起訴する(刑事裁判にかける)か、不起訴にする(刑事裁判にかけない)かを決めます。
刑事裁判とは、被告人(起訴された人)が、本当に罪を犯したのか、罪を犯したと認められる場合には、どのような刑罰を与えるべきかを裁判所が決定する手続です。
(3)刑事裁判に立ち会って、ふさわしい判決を求める
起訴した事件について、裁判所で開かれる刑事裁判に立ち会い、裁判官に対して被告人がどのような事件を起こしたのかを証拠に基づいて明らかにし、どのような刑罰を与えるべきか意見を述べるという役割も担っています。
(4)刑罰の執行を指揮する
有罪の判決が確定したら、検察官は、判決の内容に従った刑罰を実現するように、検察事務官や警察官、刑務所の職員などに指示を出します。
ポイント:検察官も警察官も犯罪の捜査をしますが、被疑者を刑事裁判にかけるかどうかを決めることができるのは検察官だけであり、警察官が行うことはできません。
検察事務官は、検察官をサポートするためにいろいろな仕事をします。
例えば、証拠品の捜索や差押え、被疑者の逮捕などの捜査を検察官と一緒に行ったり、証拠品を大切に保管したりします。
また、罰金を納めさせたり、犯罪歴(罪を犯した人の過去の記録)の管理をしたりします。
そのほか、検察庁における業務がスムーズに進むように、様々な仕事をしています。
犯罪によって被害を受けた方(被害者の方)やそのご家族などは、刑事手続はどのように進んでいくのか、どのような支援が受けられるのかなど、いろいろな不安をお持ちだと思います。
検察庁では、被害者の方からの相談に応じたり、事件の捜査や裁判の結果をお知らせするなど、被害者の方やそのご家族の支援に取り組んでいます。
そのほか、検察庁では、罪を犯した人が二度と罪を犯すことなく、社会の一員として生活することができるよう、地域の人たちや関係する団体(保護観察所や医療機関、福祉団体などがあります。)と協力して、罪を犯した人の再出発を支援する取組をしています。