育休男性検事

最適を追求できる組織

平成18年任官
東京、神戸、福岡、千葉、横浜、さいたま、長崎、名古屋の各地方検察庁のほか、法務省矯正局、法務省大臣官房での勤務を経て、現在、水戸地方検察庁で勤務
同期の検事である妻との間に小学2年から中学2年まで3人の子どもがおり、任官5年目の平成23年に半年間、任官12年目の平成30年に1年間の育児休業を取得


家族を持ちながら働く一例として

 私も妻も、働きながらも子どもを育てたいという点で一致していました。
 しかし、一方で、お互いに検事として働く中で、生身の人間が現実に起こす事件に二つとして同じものはないことから、充実した仕事をするためには経験値も重要だという認識でも一致していました。
 産休、育休を取得することは、経験を重ねるという点ではブランクになり得ますので、これを少しでも分担したいというのが、私が育休取得を考えたきっかけでした。
 つまり、私が育休を取得したのは、子どものためというより、妻に充実した仕事をしてもらいたいからで、妻も、彼女の育休中は私にしっかり仕事をしてほしいということでした。
 そのため、私と妻は、一方が産休育休の間は、他方は、無理して家事育児を担うことはせず、検事の仕事を最優先するという生活でした。
 そして、二人とも働いているときは、とにかく、「お互い様」と「どんな繁忙もそのうち終わる」を合言葉に、お互いのスケジュールを公私問わず共有し、できる限り忙しいタイミングが重ならないように調整し、どうにもならないときには、ベビーシッター、病児保育等使える制度は何でも使って切り抜けてきました。
 今でも、妻も私も、検事という仕事にやりがいを感じていて、育児や家庭を理由に、仕事をあきらめたくないと考えていますし、一方で、仕事を理由に子どもや家庭のことをないがしろにしたくもないとも思っています。
 ずっと同じ思いで、妻と二人、最近は子どもも交えて、試行錯誤を重ねています。正直、仕事でも家庭でもうまくいかずに落ち込んだり、ストレスをためたりすることは何度もありましたが、その何十倍も、この仕事をしていてよかった、妻や子どもたちがいてくれてよかったという経験を重ねてきました。
 それには、次のような、検察という組織の職場環境のおかげも大きいと実感しています。

検察の職場環境

 私が最初に育休を取得した際は、「これまで男性検事で育休を取得した人は数名しかいない」と聞かされており、また「検事は仕事第一で家庭は後回しにするもの」という自身の思い込みもあって、誰かから何か言われるのではと戦々恐々としていましたが、上司、同僚ともに、快く受け入れてくださいました。それは、次に育休を取得した際も全く同様でした。
 また、私も妻も、家庭環境等を上司や同僚に理解してもらっており、異動についても配慮いただき、約16年間、家族一緒の生活を続けてこられました。今般、私は初めて単身赴任していますが、その気になれば子どもが起きている間に帰宅できる距離なので、平日でも妻が仕事などで遅くなるときには、私が帰宅して子どもの面倒を見ています。
 さらに、テレワークやサテライトオフィスなどの環境も徐々に整備されてきており、今の検察は、多様な働き方ができる職場環境が日々整ってきていると感じています。

それぞれの選択に応じた働き方を

 私の家庭のことをご紹介してきましたが、これはあくまで一例であり、何が最適なのかは、人それぞれ異なりますし、環境の変化や時間の経過によっても変わるものだと思います。実際、育児に限っても、私の周りには、育児に時間を割くために短時間勤務等を選択している検事もいれば、育休は取得せず、また、単身赴任しているものの、毎週末帰って大掃除をしたり食事を作り置きしたりと家事育児を積極的に担っている検事もいますし、育休は取得したけれども、その後は連日激務をこなしているという検事もいます。
 確かなのは、どの検事も、それぞれの希望や事情にあった働き方を選択して、それぞれの最適を追求できること、そんな職場環境が検察という組織にはある、ということです。


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