プロとしての知見を活かす
平成22年に任官後、東京、静岡、名古屋などで勤務
その他、法務省刑事局で勤務し、アメリカで在外研究も経験
現在は、財務省主税局に出向中であり、参事官補佐として配属
平成22年に任官後、東京、静岡、名古屋などで勤務
その他、法務省刑事局で勤務し、アメリカで在外研究も経験
現在は、財務省主税局に出向中であり、参事官補佐として配属
財務省は、皆さん御存知のとおり、我が国の予算、租税、国有財産等に関する業務を所管する行政機関です。
その中で、私が現在出向している主税局は、我が国の租税に関する制度の企画、立案等を担当する部局で、
○ 所得税、相続税等を所管する税制第一課
○ 消費税、酒税、たばこ税等を所管する税制第二課
○ 法人税等を所管する税制第三課
○ 国際課税を所管する参事官室
等の課室に分かれています。
私が配属されている財務省主税局の参事官室には、常時、検事が一名出向しています。
参事官室が所管する国際課税に関する業務は、簡単にいうと、
○ ある人・会社が国際的な経済活動により得た所得について、どの国が、どの割合で課税することができるのかに関するルール
○ 「タックス・ヘイブン」と呼ばれている、法人税等の税率が極端に低い国を利用した租税回避を防止するルール
○ 各国の税務当局が保有している税務関連情報を、当局同士で提供し合う(交換する)ためのルール
等の策定・運用に関する分野です。
私を含む、代々の出向検事は、「税務情報交換」と呼ばれる、上記のうち3つ目のルールを扱う係に所属してきました。
税務情報交換は、近年、富裕層が自国以外の金融機関に資産を保有し、自国の税務当局による資産の把握を困難にして、国際的脱税や租税回避に及ぶ例が多々生じたことに対応するもので、各国の税収を確保するに当たり非常に重要な役割を担っています。
税務情報交換に関するルール及びその運用指針はOECD(経済協力開発機構)において策定されます。
出向検事は、それらの策定のために開催される国際会議に出席し、必要に応じて我が国の意見を述べます。
意見のすり合わせや根回しのために、OECD事務局や他国の税務当局と1対1でミーティングを行うこともあります。さらに、ルール等が最終的に策定された後は、参事官室の国内立法を担当する係と協力して、それらを我が国の法令に反映させる作業を行います。
これらは、一見すると検事の本来業務と無関係のようにも思えますが、実際に関わってみると、例えば、
○ ある目的を達成するために、どのような仕組みをどのような形でルールに組み込むのが効果的か
○ ある仕組みを導入するに当たり、反対利益をどのようにして保護するか
○ ある仕組みの実効性を担保するための罰則の必要性及びその内容
といった事項を考慮する際に、様々な法律を用いて捜査・公判に携わってきた法律実務家としての経験が存分に活かされている実感があります。
これらを通して我が国の利益のために尽くす毎日の業務は、大変やりがいのあるものです。
検事の職務は、捜査・公判活動への従事を基本としつつも、様々な省庁や組織に出向し、法律実務家としての知見を活かすキャリアパスが用意されています。
私の現在の出向先のように、国際的な業務に従事するポストも多数存在しています。
多種多様な分野で経験を積み、自分の能力を伸ばせる可能性を秘めた、検事という職業を志してみませんか。