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若手検事対談

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PROFILE
※所属、掲載内容は取材当時のものです

Ｋ検事

任官して４年目で、これまで、東京地検、大阪地検堺支部で勤務し、現在は名古屋地検の刑事部で捜査を担当しています。

Ｔ検事

任官して１年目で、名古屋地検の刑事部で捜査を担当しています。

お二人は、なぜ検事になろうと思ったのですか。

Ｋ検事

　私は、司法修習生になるまで、検事の仕事の内容についてほとんど知らず、検事になろうと思ったこともありませんでした。
　ただ、刑事ドラマやミステリー小説が好きで、真相を解明して犯人にたどり着くまでの過程に魅力を感じていました。検察修習において、警察と協力して証拠を集め、ときには自ら現場にも足を運び、被疑者や関係者から話を聞いて真相を解明するのが検事の仕事だと知り、検事になろうと思いました。

Ｔ検事

　私は、法律を使う仕事をしたいと思い、大学の法学部に入学し、大学で法律を学ぶうちに、刑事事件に主体的に携わることのできる検事という仕事に関心を抱き、法科大学院に入学する頃には、検事になりたいと考えるようになりました。

検事になってから、思っていた印象と違うなと思った点があれば教えてください。

Ｋ検事

　良い意味で印象が変わった点は、検事の仕事は多種多様であるということです。
　任官するまでは、検事の仕事は、捜査・公判が全てだと思っていましたが、捜査公判の経験を積んだ後、他の官公庁に出向したり、刑事法の立法や外国の法整備支援に関わったりすることもあると知りました。

Ｔ検事

　私も、任官するまで、検事の仕事は捜査公判の仕事だけだと思っていましたが、罪を犯した人の再犯防止のために、福祉関係機関等と連携し、居住先や就業先を探すなどの社会復帰支援をすることも多いということを知りました。
　また、検事の仕事が幅広い分、忙しいということも任官して実感しました。時期や配属先にもよるのだと思いますが、担当する事件が多いときはとても忙しいと感じることもあります。

Ｋ検事

　配属先によって職場の雰囲気も違うと感じますね。
　検察庁は全国各地にあり、その規模も庁によって異なることから、検察庁ごとに職場の雰囲気はかなり違うと感じます。
　ただ、どの検察庁でも、ハラスメント問題にはかなり気が配られており、働きやすい環境が整っていると思います。

検事の仕事のやりがいは何ですか。

Ｋ検事

　警察などの関係機関と協力することで、きちんと真相を解明し、被疑者を起訴して適切な判決を得られたときにやりがいを感じます。
　昨年、組織的な窃盗事件を担当したのですが、捜査時には、複数の都道府県から多くの警察官が関わり、約半年かかって、多数の被疑者を起訴し、適正な判決を得ることができました。警察の担当者からは、「県内の治安が少しでも良くなった。検事さんが担当で良かった。また一緒に捜査したい。」と言ってもらうことができ、大きな達成感がありました。

Ｔ検事

　私も、Ｋ検事と同様に、事件の真相を解明し、それが社会をより良くすることにつながるというところに仕事のやりがいを感じていますし、捜査や公判において事件の真相を解明し、適正な科刑を実現することが、安全・安心な社会の実現につながると信じて仕事をしています。

仕事をする上で、心がけていることは何ですか。

Ｔ検事

　私は、常に最善を尽くすことを心がけています。
　例えば、被疑者が処罰を受けるべきだと考えられる事案であっても、公判で有罪を立証するための証拠が足りず、起訴できないときもありますが、そのようなときでも、できる捜査は全てやり尽くしたといえるまで捜査をすることを心がけています。

Ｋ検事

　私は、検事の仕事は、被疑者や被害者等の人生を左右する仕事であることを忘れないようにしています。
　検事の仕事は、被疑者を起訴するだけではなく、有罪立証できるだけの証拠があっても、犯罪の重さや反省の程度、被疑者の境遇、被害弁償の有無や被害者の処罰感情等様々なことを考慮した上で、処罰を求めずに更生を図る方がよいと判断した場合には、不起訴（起訴猶予）にすることもあります。
　被疑者の中には、反省したにもかかわらず、再犯に及んでしまう人もいます。自分が担当した被疑者が再犯に及んでしまったことを知ったときには、検事としてもっと何かできたのではないかと考えてしまいますが、これからも、被疑者や被害者等のために、検事として何をすべきかを常に考えながら、仕事をしたいと考えています。

お二人とも若手検事ということもあり、事件の捜査や処分方針に迷うこともあると思いますが、そのような場合にはどうしていますか。

Ｔ検事

　捜査の知識も経験もまだまだ未熟な私は、不足している捜査がないかと不安になるなど毎日のように壁にぶつかります。しかし、先輩検事や上司は、快く相談に乗って指導や助言をしてくれますし、立会事務官も、いろんな意見を言ってくれるので、一人で仕事をしているわけではないということを常に感じており、とても心強いです。

Ｋ検事

　確かに、先輩検事や上司は、どんなときも快く相談に乗ってくれますね。
　検察庁には、人に何かを教えるのが好きな人が多いと感じます。手持ちの資料を探し出してまで相談に乗ってくれることもあります。

Ｔ検事

　自分が気付いていなかった問題点について、上司から指摘を受けて初めて気づくということもありますし、知識や経験が豊富な上司からの指摘は勉強になります。

Ｋ検事

　思っていた印象と違うなという質問に戻ってしまいますが、任官するまで、「決裁」は、上司である決裁官が、処分方針等の可否を一方的に判断するだけのように思っていましたが、実際は違いました。
　決裁官は、事件の問題点や解決方法を見通し、的確な助言をしてくれます。決裁の場で、決裁官からの質問や意見に答えることで、事件の問題点や別の着眼点に気付くことがよくありますし、決裁官とのやりとりを通じて、事件に対する理解が深まるとともに、問題点も解消され、適切な判断が可能になり、また、自分自身の成長につながっていると思っています。

検事として必要な知識や能力はどうやって学んでいますか。

Ｔ検事

　検察では、勉強会や研修が充実していると感じており、最近は、司法面接（※）の研修に参加しました。
　その後、実際に被害に遭った子どもから話を聴く機会があり、警察や児童相談所と連携し、先輩検事や上司らのサポートを受けつつ、研修で得た知識をすぐに実践することができました。
（※）児童の負担を減らし、体験したそのままの事実を話してもらえるように、関係機関が協同で、暗示や誘導の少ない方法で行う聴取の方法

Ｋ検事

　研修や勉強会以外にも、先輩検事の事件に応援に入って経験を積むこともできます。
　関係者多数で複雑な事件の場合、複数の検事が捜査を担当することがあり、私たちのような若手も応援検事として捜査に参加することがあります。応援に入ると、先輩検事が何を考えてどのような捜査を行うのかを身近で学ぶことができますし、先輩検事から直接指導を受けることもできるので、とても勉強になります。

Ｔ検事

　私も、先輩検事が担当する事件に応援に入ったことがあり、とても良い経験になりました。

お二人の今後の目標を教えてください。

Ｋ検事

　ありきたりですが、「かっこいい検事」を目指したいと思います。
　被疑者や被害者、弁護人、裁判官、裁判傍聴をした人、検察庁内の同僚など、誰から見ても、公正誠実な検事でありたいということです。そのためには、一つ一つの事件に正面から真摯に向き合い、全力を尽くし続けたいと思います。

Ｔ検事

　日々自己研鑽に励み、積極的に知識を学び続け、多種多様な犯罪に適切に対処できる検事になりたいです。
　そして、人の気持ちに寄り添い、公益の代表者として真相解明に全力を尽くせる検事でありたいと思っています。

司法試験受験を控えている方、受験を考えている方々へ向け、オススメの勉強法・在学中の過ごし方などがあればお願いします。

Ｔ検事

　大学や法科大学院に在学中は、受験勉強だけではなく、アルバイトをしたり、友人や家族と旅行に出かけたりするなど、学生時代にしかできないことを目一杯やることをおすすめします。
　どんな経験も無駄にはなりません。法律家は常識がないと世間から言われてしまうこともありますが、学生時代にいろいろな経験をすることが、人間味のある法律家の姿につながっていくと思います。

Ｋ検事

　振り返ってみると、法科大学院在学中の刑事弁護に関するゼミや、模擬裁判の授業はとても有益だったのではないかと思います。
　検事に任官するにしてもそうでないにしても、自分と違う立場の考え方を学んでおくことは、その後の進路を選択する上で、重要なことだと思います。

これから検事を目指す方、検事に興味がある方が閲覧される予定です。その方々に向けて、何か一言お願いします。

Ｋ検事

　検事の仕事には魅力がたくさんあり、私自身、こんなにやりがいのある仕事はないと思っています。
　このインタビューを読んだ方といつか一緒に働ける日を心待ちにしています！

Ｔ検事

　検事の職務には、当然責任や重圧を伴いますが、それ以上に、社会に貢献していると実感できるやりがいのある仕事だと思います。
　このインタビューを読んで、検事の仕事に少しでも興味を持ってもらえたらうれしく思います。

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