検察官及び検察庁は、行政と司法との両性質を持つ機関であるため、その組織と機能も両者の特徴を併有していますが、我が国の検察制度の特色としては、以下の3点を指摘することができます。
第1に、検察官は、自ら被疑者、参考人を取り調べるなど証拠の収集を直接かつ積極的に行っていることです。
第2に、検察官は、的確な証拠によって有罪判決が得られる高度の見込みのある場合に限って起訴することとしていることです。
第3に、起訴便宜主義(公訴を提起し、これを維持するに足りる十分な犯罪の嫌疑があり、かつ、訴訟条件も具備されている場合においても、公訴権者(検察官)の裁量により起訴しないことを認める制度)が採られていることです。
以上の特色からも明らかなように、我が国の刑事司法手続においては、検察官が、国家の刑事訴追機関として公訴権を独占し(注)、その権限行使の適正を期するために捜査を行い、原告官として訴訟を遂行するとともに裁判の執行を指揮監督するなど、刑事司法運営の中核的機能を担っているのです。
(注)例外として、いわゆる準起訴手続(付審判請求)と検察審査会による起訴議決に基づく公訴提起の制度があります。