新春を迎え、新年のお慶びを申し上げます。
日頃よりさいたま地方検察庁の活動に御理解をいただき有り難うございます。
昨年本県では多くの重大な事件が発生しました。拳銃使用のタクシー強盗殺人未遂、連続放火、いわゆる闇バイトによる強盗など人々に大きな不安を与える凶悪事件がありました。高齢者等を狙った特殊詐欺も多く発生しました。また、社会福祉法人での贈収賄、PTA協議会における背任、暗号資産等を濫用したマネーロンダリング事件など不正が社会に潜んでいた事件もありました。当庁では、これらの事件、更には日常に生じる様々な事件等について適正に丁寧に捜査を行い、必要なものを訴追し、検察としての役割を果たすことができたと思っています。
昨年に当庁がさいたま地方裁判所に訴追した事件は4136件となります。39件の裁判員裁判事件を含め、2316件の判決が出ました。皆様もこれらの裁判に関心を持っていただけると嬉しいと思います。これらの事件の裁判で当庁は公正な訴訟活動を行い、迅速な裁判の実現に努めたところです。
検察の役割は皆様が幸せな日常を過ごせるよう安全な暮らしを守ることだと考えています。しかし、埼玉県の皆様にとって治安上の不安を覚えることが多くなったのではないかと危惧しています。それらの課題に真っ正面から向き合って対処することが今年の当庁の目標です。SNS等を悪用した強盗や特殊詐欺、社会の将来を担う子どもを蝕む児童虐待、各種技術の発展を悪用した事件、暴力・薬物等の害悪、社会に潜む不正などの地域の皆様の幸せな日常生活を脅かす行為に対して厳正に対応し、県民の皆様の御期待に応えられるよう職員一同全力で立ち向かいます。安心・安全な地域社会の実現のためには、再犯防止に力を入れることも重要であり、当庁ではそのような取組も進めて参ります。
これらは当庁の力のみで成し遂げられるものではありません。関係機関と緊密に連携していく必要があるとともに県民の皆様のお力も重要です。これまで皆様に当庁の捜査や裁判等に御協力いただいたことを心より感謝申し上げるとともに本年も引き続き皆様の御協力をお願いいたします。
最後に皆様にとって本年がより良い一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
2 0 2 5 年 元 旦
検事正 野 下 智 之