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職員からの一言

最終更新日:2015年4月24日

高松地方検察庁の職員が交代で,毎月「ひとこと」お届けします。

検察官にとってゴールデン・ウィークは全くゴールドじゃない?

 今年の4月から高松地検に配属された,任官2年目の検察官です。
 5月のGWは,多くの人にとっては,ありがたい連休だと思います。
 そのGWのおかげで私が悩んだ事件についてお話します。
 
 高松地検着任後まもなく,外国人グループの窃盗事件を担当することになりました。
 誰が見ても,「こんなの全国的,組織的,職業的な犯行で,今回捕まったのは組織の一部の者による犯行の一部に決まってる。」とピンとくるような事件です。
 外国人が日本に来て,犯罪でお金稼ぎをして悠々と帰っていくなど,許していいわけがありません。
 悪行を全部暴いて,犯人達に見合った処罰を与えることはもちろん,組織の人間や,犯罪をこれから行おうと考えている者に,「自分たちのところにも捜査の手が及ぶかもしれない。」「日本で悪いことをしたらこんなに痛い目に遭う。」と思い知らせて,今後の犯行を思いとどまらせなければ,と熱くなります。
 そのためには,被疑者(犯罪を犯したと疑われている人)が何をしたか,捜査を尽くして,証拠を集めて明らかにしていかなければなりません。
 一方,被疑者を身柄拘束できる時間には法律上限りがあります。その期間は,いくら休日が含まれようが変わることはありません。
 そこで,GWの弊害が出てきてしまうのです。
 証拠を集めるために,関係各機関に問い合わせ等を行います。外国人なので,通訳人も必要です。しかし,世間一般は休日なので,問い合わせへの回答が得られませんし,通訳人もお願いできなくなりました。
 そんな事情はお構いなしに,身柄拘束期間は刻々と過ぎてしまいます。
 人の自由を奪ってしまう身柄拘束は,できる限り短くして捜査を遂げなければならないことと,事件の全貌を明らかにしなければならないということとの葛藤が生じます。
 捜査を遂げずに処分(裁判にかけるか否かなど)を決めることはできないので,苦肉の策として,休日がなければ遂げられるはずの期間よりも長く身柄拘束をして,必要な捜査を遂げました。
 一般的には楽しいGWですが(私も,検察官になるまでは楽しみ以外のなにものでもなかったです。),これによって悩まされる立場もあるということを知っていただければと思って紹介した次第です。

(検察官)

検察官って何?どんなことしているの?

 木村拓哉主演の人気ドラマが放映されるなどし,以前よりは,検察官の仕事内容を理解していただけるようになったとは思いますが,やはり,一般の方からすると,あまり馴染みのない仕事ですので(あまり馴染みになってはいけません!),同窓会などに顔を出すと,今でも聞かれることがあります。
 検察官の仕事は,主に,「捜査」と「公判」に分けられます。
 捜査とは,被害者や被疑者(犯人であるという容疑がかけられている人のことです。),それに目撃者などから話を聞くなどして,過去のある一時点で何があったのかということを明らかにすることを言います(もちろん,話を聞くだけではなく,木村拓哉扮する久利生検事のように,現場に行き,書類だけでは分からない,現場の空気や距離感などを確かめることもありますし,いわゆる客観的な証拠を集めることにも尽力します。)。過去のある一時点には,検察官である私はいません。ですので,その場に居合わせた人(被害者,被疑者,目撃者)から話を聞いて,どのようなことがあったのかということを聞く必要があるのです。もちろん,皆が同じ話をするわけではありません。違う話をする場合,どうして違う話をするのかということに思いを馳せながら,客観的な証拠と照らし合わせて,真実は何かということを検討します。捜査の結果,被疑者を起訴するか(つまり裁判にかけるか),不起訴にするかを決めます。

 公判とは,裁判のことです。裁判官に対して(裁判員裁判では裁判員に対しても),どのような事件なのかということを,証拠に基づいて,分かりやすく説明するというのが検察官の仕事です。事実に争いがある事件,たとえば,被告人(犯人であるとして起訴されている人のことです。)が,「自分は犯人ではない!」と主張する場合には,被告人が犯人であるということを,証拠に基づいて立証します。目撃者がいる場合には,その人に裁判所まで来てもらって証言をしてもらったり,科学的な証拠(たとえばDNA)がある場合には,それがどのような意味を持つのかということを専門家に裁判所まで来てもらって証言してもらったりします。

 捜査の方が好きだという検察官が多いと言われています(私も,段々と事実が分かっていく捜査の方が好きです。)。

(検察官)

大阪地検勤務を経験して

 検察事務官は,基本的に,採用された県内,もしくは高検管内(高松であれば四国内)での異動となります。私は,全国異動の検察官と一緒に仕事をするようになって他地検の話などを聞くうちに,四国以外の地検でも働いてみたい,地元から近くて大規模庁の大阪に行ってみたいと希望するようになりました。そうしたところ,縁あって大阪地検で勤務する経験ができました。
 大阪地検では,刑事部で検察官の立会,特別捜査部で内偵捜査(人捜しや銀行捜査,聞き込みなどの裏付け捜査)やガサと呼ばれる捜索差押え等を経験しました。立会は,皆さんよくご存じのドラマHEROで,久利生検事と一緒に捜査をしていた雨宮事務官や麻木事務官の仕事です。1年目に配属された刑事部は,高松地検全職員数とほぼ同じ約130名の職員がいて,事務が細分化されているため,どこの部署がどの業務を担当しているかも分からず不安もありましたが,基本的な仕事の流れは同じですし,高松勤務経験者や四国出身者,研修同期といったもともとの知り合いや,高松の先輩等から紹介してもらった方々を頼りつつ,周りのメンバーにも恵まれていたので,大阪地検でも楽しく仕事をすることができました。
 仕事以外でも,高松時代に同僚とやっていたフットサルを続けたいと思い,大阪地検サッカー部がやっているフットサルの練習に参加したり,同僚と京都幕末ツアーや城跡巡りに出かけたり,プロ野球やJリーグの観戦に行ったりと週末も大阪生活を満喫しました。
 この4月から高松地検に戻って来ましたが,高松と大阪での勤務を通して,仕事はチームで行うものだと感じています。仕事自体がどんなに忙しくてつらくても,信頼できる仲間たちと一緒に仕事ができれば,後で振り返ったときに明るく笑える話に変わるものです。知り合いが少ない場所で勤務してみて,今まで以上に人と人との出会いやつながりが大切だなと実感しています。今このメンバーで働けるのも何かの縁ですし,これからもこの縁を大切に,みんなで楽しく仕事ができればと思います。

 最後に一言…アットホームな高松地検もツッコミの激しい大阪地検も,両方とも大好きです!

(検察事務官)

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