裁判員制度について

最終更新日:2024年2月26日

・裁判員制度  ・対象事件  ・裁判員に選ばれるまで  ・裁判員に選ばれてから  ・裁判員制度に関するQ&A  ・もっと裁判員について知りたい方へ
・裁判員裁判実施予定(PDF形式)(PDFファイルをご覧いただく場合はページ下参照)

裁判員制度

 裁判員制度は,平成21年5月から実施されています。国民のみなさまに,地方裁判所で行われている刑事裁判に参加していただき,被告人が有罪か無罪か,有罪の場合はどのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度です。

対象事件

 国民のみなさまの関心の高い重大事件を扱います。
 代表的な例をあげると,次のような場合があります。
 (1) 人を殺した場合(殺人)
 (2) 強盗が人に怪我をさせ,あるいは,死亡させた場合(強盗致死傷)
 (3) 人に怪我をさせ,その結果,死亡させた場合(傷害致死)
 (4) ひどく酒に酔った状態で,自動車を運転して人をひき,死亡させた場合(危険運転致死)
 (5) 人が住んでいる家に放火した場合(現住建造物等放火)
 (6) 身代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身代金目的誘拐)
 (7) 子どもに食事を与えず放置して,死亡させた場合(保護責任者遺棄致死)
 (8) 財産上の利益を得る目的で覚せい剤を密輸入した場合(覚せい剤取締法違反)

裁判員に選ばれるまで

 裁判員に選ばれるまでの流れは以下のとおりです。
 選挙人名簿をもとに裁判員候補者名簿を作成します。
 裁判員は,この候補者名簿の中から一つの事件ごとに裁判所における選任手続により選ばれます。

(1) 裁判員候補者名簿の作成

 選挙権のある人の中から,翌年の裁判員候補者となる人を毎年くじで選び,裁判所ごとに裁判員候補者名簿を作成します。

(2) 候補者への通知

 裁判員候補者に選ばれた方に通知書が発送されます。
 通知は,11月頃に裁判所から行われます。
 この段階までに裁判所に行くことはありません。

(3) 事件ごとの裁判員候補者の選定・通知

 事件ごとに裁判員候補者名簿の中からくじでその事件の裁判員候補者を選び,選任手続期日のお知らせ及び質問票が送付されます(原則,裁判の6週間前くらい) 。
 指定された期日に裁判所に行くことになります。

(4) 裁判所における選任手続き

 裁判所で,候補者の中から裁判員を選ぶための手続が行われます。
 裁判長から,辞退希望がある場合の理由などについて質問されます。

(5) 裁判員選任

 辞退が認められた人等を除外して,裁判員候補者の中から,くじ等によって裁判員を選任します。

裁判員に選ばれてから

 裁判員に選ばれると,どのようなことを行うのでしょうか?
 裁判員の仕事の概要は以下のとおりです。

(1) 公判に出席する(公開)

 裁判員に選ばれたら,裁判官と一緒に刑事事件の審理(公判)に出席します。公判は,できる限り連続して開かれます。
  公判では,証拠として提出された物や書類を取り調べるほか,証人や被告人に対する質問が行われます。裁判員から証人等に質問することもできます。
裁判の流れは,以下のとおり行われます。
ア 冒頭手続
・被告人の確認(人定質問)
・検察官による起訴状朗読
・被告人と弁護人から起訴状に対する言い分を聞く(意見陳述)
イ 証拠調べ手続
・検察官,弁護人が証拠により証明しようとする事実を述べる(冒頭陳述)。
・検察官,弁護人が提出した証拠物や証拠書類の取調べ,証人や被告人への質問を行う(証拠調べ)
ウ 評議・評決
・裁判員と裁判官が証拠に基づき,被告人が有罪か無罪か,有罪だとしたら,どんな刑にするのかを検討し,決定します。
エ 判決宣告
・評決の結果を裁判長が宣告します。
 

(2) 評議・評決を行う(非公開)

 証拠に基づいて,被告人が有罪か無罪か,有罪だとしたらどんな刑にするべきかを裁判官と一緒に検討し(評議),決定する(評決)ことになります。
 議論を尽くしても全員一致の結論が得られないことも想定されます。この場合,評決は多数決によって行われます。ただし,有罪と判断する場合は,裁判官,裁判員のそれぞれ1名以上を含む過半数の賛成が必要です。
 例えば(裁判員6名,裁判官3名の場合)
  裁判員6名が有罪,裁判官3名が無罪 → 無罪
  裁判員4名が有罪,裁判官1名が有罪 → 有罪
  裁判員2名が有罪,裁判官3名が有罪 → 有罪
  裁判員6名が無罪,裁判官3名が有罪 → 無罪
になります。
 また,どんな刑にするかについて意見が分かれた場合は裁判官,裁判員のそれぞれ1名以上を含む過半数になるまで,被告人にもっとも不利な意見の数を順次有利な意見の数に加えて行きます。
 例えば(裁判員6名,裁判官3名の場合) 
  裁判員3人,裁判官1人 → 懲役7年
  裁判員1人       → 懲役6年
  裁判員2人,裁判官2人 → 懲役5年
に意見が分かれた場合は,もっとも不利な懲役7年の意見の数を次の意見である懲役6年の意見の数に加えます。
 すると
  裁判員4人,裁判官1人 → 懲役6年
  裁判官2人,裁判官2人 → 懲役5年
になり,懲役6年の意見が,過半数で,かつ,裁判官,裁判員の各1名以上の意見を含むことから,これが結論になります。

(3) 判決宣告(公開)

 評決内容が決まると,法廷で裁判長が判決の宣告を行います。
 判決の宣告が行われると,裁判員としての仕事は終了します。

裁判員制度に関するQ&A

Q1 候補者名簿に選ばれたら,必ず裁判所に行くことになりますか?
A  対象事件ごとに行われるくじで選ばれなければ,裁判所に行く必要はありません。
 
Q2 裁判員は,どこの裁判所に行くのですか?
A  埼玉県内で,裁判員裁判を行っている裁判所は,さいたま地方裁判所だけです。
   したがって,埼玉県にお住まいの方が裁判員(候補者)に選ばれた場合は,さいたま地方裁判所に行っていただくことになります。

   
Q3 裁判員には,どんな人が選ばれるのですか?
A  現在は、20歳以上で選挙権のある方の中から裁判員が選任されることとなりますが、令和5年以降は、18歳及び19歳の方も裁判員に選任されることがあります。
   ただし,次のような人は,裁判員になることができません。
  1 欠格事由
   ・義務教育を終了していない人
    (義務教育を終了した人と同等以上の学識のある人を除きます。)
   ・禁錮以上の刑に処せられた人
   ・心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障のある人
   など
  2 就職禁止事由
   ・国会議員,国務大臣,国の行政機関の幹部
   ・司法関係者(裁判官,検察官,弁護士等),警察官
   ・都道府県知事及び市町村長(特別区長も含む)
   ・自衛官
   など
  3 事件に関連する不適格事由
    審理する事件の被告人又は被害者本人,その親族,同居人
  4 その他の不適格事由
    裁判所が不公平な裁判をするおそれがあると認めた人


Q4 裁判員に選ばれる確率は,どれくらいですか?
A  令和4年の埼玉県における裁判員選任状況をみると
  ・選挙人名簿登録者数 615万2,271人
  ・裁判員候補者名簿登録数 9,400人
  ・裁判員候補者となった人  4,365人
  ・裁判員数 331人(補充裁判員を含む)
  であり
   裁判員となるのは,約18,590人に1人
   裁判員候補者に選ばれるのは,約1,410人に1人
  の確率になります。

 
Q5 裁判員を辞退することはできるのですか。
A  原則としてできません。
   ただし,法律で認められた次のような事情がある方は辞退することができます。
  ・70歳以上の人
  ・学生・生徒
  ・過去5年以内に裁判員・補充裁判員を務めた人
  ・過去1年以内に裁判員候補者として裁判所に行ったことのある人
  ・過去5年以内に検察審査員・補充員を務めた人
  ・一定のやむを得ない事由があって,裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人
    「やむを得ない事由」とは,例えば
    ・重い病気や怪我
    ・親族又は同居人等の介護・養育
    ・父母の葬式等,他の期日に行えない社会生活上の重要な用務
    ・事業上の重要な用務であって自ら処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがある人
   などです。

 
Q6 裁判員(候補者)として裁判所に行くために会社を休むと,会社で不利益を受けませんか?
A  裁判員となるために必要な休みを取ることは法律で認められています。
   また,裁判員として仕事を休んだことで解雇などの不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。


Q7 裁判員になったことは,だれにも話してはいけないのですか?
A  身近な人に話すことは支障ありません。ただし,公表してはいけません。
   仕事を休むときに上司等に話すことも支障ありません。

 
Q8 なぜ,裁判員には守秘義務があるのですか?
A  裁判員は「評議の秘密」(非公開の評議でだれがどのような意見を言ったかなどのこと)を守らなければなりません。後で,誰がどのようなことを言ったかなどを公にされると批判を恐れて自由な意見交換ができなくなるおそれがあるからです。
   また,裁判員の仕事をする上で知った,事件と関係のない個人のプライバシーなどの秘密も守らなければなりません。
   なお,裁判員を経験した感想であれば,基本的に話しても大丈夫です。

 
Q9 裁判員になったことでトラブルに巻き込まれないか心配ですが?
A  裁判員の名前や住所を公開しない,事件に関して裁判員に接触してはならないなど法律で保護されます。
   また,裁判員やその親族を脅した者を処罰する規定も設けられています。

 
Q10 家から裁判所まで遠いのですが,交通費は支払われるのですか?
A 交通費,宿泊費は必要に応じて支払われます。
  また,日当についても,裁判員は上限1万50円,裁判員候補者は上限8050円が支払われます。

もっと裁判員について知りたい方へ

 裁判員制度に関する疑問にお答えします。
 ※ 裁判員制度に関する法務省ウエブサイトです。
 
 裁判員制度が始まりました
 ※ 裁判員制度に関する最高裁判所ウエブサイトです。

 
 裁判員制度説明会の開催
 ※ 当庁職員が,会社,学校,公民館等にお邪魔して説明会を行います。
   詳しくは,広報のページへ。

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