裁判員制度開始に当たって

最終更新日:2015年10月20日

 平成21年5月21日から裁判員制度が開始されました。
 国民の皆様方に制度を御理解いただき,積極的に参加していただきますよう,よろしくお願いいたします。

法曹三者合同記者会見の写真

法曹三者合同記者会見でのあいさつ
(平成21年5月21日 於:宮崎地方裁判所)

 

宮崎地方検察庁検事正 津熊 寅雄
 

 本日,スタートいたしました裁判員制度は,司法への国民参加を実現した意義深い制度です。国民の皆さんが刑事裁判に参加することによって,国民お一人お一人の人生で培った感覚や経験に根ざした様々な視点が裁判に生かされることになります。それが,ひいては,より良い社会につながっていくものと思います。

 5年前に裁判員制度に関する法律が公布されて以来,私たち法曹三者は,県民の皆さんに制度をご理解いただき,積極的に参加していただけるよう,制度の目的や内容などについて県内全域で広報活動を行ってまいりました。

 また,法曹三者による模擬裁判や研究会などを通じ,分かりやすい裁判員裁判の実現を目指して様々な工夫や努力を進めて参りました。例えば,検察庁においては,裁判員の皆さんに参加していただく裁判の事件が一体どのような内容の事件なのか,また,その事件にはどのような証拠があるのかなどについて,皆さんが裁判のその場で理解し判断していただけるようにお伝えするにはどのような説明の仕方がよいかなど,試行錯誤を重ねてきました。今後も,同様の努力を続けて参ります。
 
 最近の調査によりますと,裁判員制度そのものは広くご理解をいただいているようですが,未だ国民の多数の方々が,参加することの不安,人の人生を左右する責任の重さなどから,参加に対して消極的であるとの意見が聞かれます。

 しかし,法律的な疑問点については,専門家である3名の裁判官から,丁寧な説明がされることになっておりますし,判決は,自分一人で決めるわけではなく,裁判官,裁判員の合計9名がそれぞれ意見を出し合って多数決で決めることになっております。どうぞ,安心して参加していただきたいと思います。

 今の日本を見ますと,残念ではありますが,不可解で残忍な事件が,多く発生しています。

 裁判員制度は,それらの事件が,決して他人事ではなく,私たちの住む地域でいつ発生してもおかしくないことを国民一人一人が真剣に考え,犯罪被害者の保護や,犯罪者の自立更生,また犯罪の予防などについてもご自身のこととして考える切っ掛けとなる制度であると思います。そして,制度が定着することによって,地域社会の安心安全に役立つことが期待されております。

 最後に,国民の皆さんのご協力なくして,裁判員制度は成り立ちません。裁判員制度へのご理解,積極的なご参加をお願いいたします。

宮崎地方検察庁 管内検察庁の所在地・交通アクセス
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