北海道の女性パワーと更生保護

最終更新日:2015年12月28日

元釧路地方検察庁検事正 中 島 行 博

 北海道勤務は2回目であり,1回目の10年前は札幌地検の総務部長として裁判員裁判の広報を担当した。まだ広報自体が始まったばかりで,広報先を見つけるのに苦労していたが,たまたま,北海道女性団体連絡協議会の存在を知り,その総会の場で広報活動をさせていただいた。同会は,北海道に多数ある女性団体のその全体を束ねる団体であって,総会出席者は100名を超えていた記憶である。私より年配の役員の女性がテキパキと行動されており,北海道の女性はパワーにあふれしっかりしているとの印象を持った。これが縁で,他の広報先も紹介していただき大いに助けられた。
 今回は釧路勤務となり,着任のあいさつ回りで釧路更生保護女性会の会長さんにお会いした。更生保護女性会はボランティア団体であり,釧路地検管内には同会など27会があり,その会員総数は1000名に近い。社会を明るくする運動への参加,更生保護施設への運営資金や日用品の援助,年数回の食事作りなどの活動を続けている(*北海道は集治監から発展したこともあって釧路地検管内には釧路,帯広,北見,網走に更生保護施設がある)。釧路更生保護女性会で特筆すべきは,活動資金集めなどのため,毎年8月末ころ,「名士職域かくし芸芸能大会」を開催していることである。
 このかくし芸大会は,釧路市のシンボル的存在の1つである生涯学習センターにおいて,市会議員等が各自のかくし芸を披露するもので,そのトリでは,市長,振興局長,保護観察所長,法務局長,鑑別所長,刑務支所長と共にここ10年は検事正も参加して日本舞踊を披露するのが恒例となっている。7月下旬から,勤務終了後にプロの女性師匠の指導を受け,最後の1週間は連日猛稽古が続くとのことである。今年で60回目となるが,これだけの間,大物名士たち(?)を引っ張って大会を継続させてきた釧路更生保護女性会のパワーは相当なものである。10年前に私が感じた北海道女性のパワーの証左でもあろう。
 更生保護女性会は,更生保護施設での食事作りなど主に間接奉仕で犯罪者の更生に貢献しているが,このパワーをたとえば万引き癖が出てきた独居老人の話相手や身上相談など,更に直接的な活動に拡張できないものか,制約条件も踏まえつつ密かに模索している。
 

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