マグーコーナー

なぜ?なに?法律用語!!


自首

今回は,「自首」についての解説だよ。
 「警察に自首してください!」って刑事ドラマの中でよく聞く言葉だけど,自首の条件が法律で決まっていることは知っているかな?今回は自首について,マグーといっしょに勉強しよう!
 自首とは,「捜査機関に発覚する前」に,罪を犯した者が警察及び検察庁などの捜査機関に対し,自分の犯罪事実を申告して,その処分をゆだねる意思表示のことをいい,それが認められれば,最終的に,裁判官の裁量により,刑を軽くすることができるというものなんだ。
 そして,この場合の「捜査機関に発覚する前」というのは,犯罪の事実が全く捜査機関に分かっていない場合はもちろん,犯罪の事実は分かっていても犯人が誰なのか分かっていない場合も含むんだ。でもここで注意!犯罪の事実,そして犯人が誰かは分かっていても,犯人の居場所だけが分からない場合は含まれないよ。「捜査機関に発覚する前」が要件になっていない罪も例外的にあるんだけど,ここでは省略するね。

問題を解いて確認マグー!

 深夜,某公園内を歩いていた若い女性が,突然背後から何者かに刃物で刺され重傷を負うという事件が起き,犯人はそのまま現場から逃走しました。

 数日後,所轄の警察が,現場に残された犯人の遺留品や目撃者の証言から,逃走中の犯人Aを逮捕し事情聴取したところ,Aのほかに,共犯者としてBの存在が明らかになったため,警察は,再三にわたって,Aに対しBの居場所を追及しましたが,Aは全くBの所在について知らなかったため,捜査は難航。

 そこで,警察は全国に指名手配をかけ,テレビの報道でもBの名前と顔写真が放映されました。すると,その報道を見ていた逃走中のBが,もうこれ以上逃げ切れないと観念し,近くの警察に自己の犯罪事実を申告して名乗り出ました。さて,このBの行為は,自首に当たるでしょうか?

 正解は次回の更新のときに発表するよ。





正当防衛
今回は,「正当防衛」について説明するよ!みんな,用意はいいマグー??
 違法な攻撃を現に受けているか,又はそれが目の前に差し迫った緊急状態において,その違法な攻撃に対して権利を防衛するためにやむを得ずにした行為を「正当防衛」というマグー。「緊急防衛」とも言われているよ。

 一個人の武力・腕力を使っての行動は禁止されているけど,緊急の場合は決まった範囲でその例外が認められていて,「正当防衛」もその一つなんだ。

 例えば,いきなり刃物で攻撃してきた相手の腕を手で強く打って自分の身を守ったけど,相手の腕に怪我をさせてしまった場合,相手に怪我をさせてしまった点で,傷害罪に該当するんだけど,それは自分の生命に危険が及んだ緊急状態で自分の生命を守るためにやむを得ずにした行為の結果だから,「正当防衛」になるので,違法という評価を受けず,結局,傷害罪は成立しないんだ!

 だけど,相手の攻撃が棒で足を1回殴って終わっているのに,相手の捨てた棒で相手の頭を殴って怪我をさせた場合には,緊急状態にあったとはいえないし(過去の侵害),相手の素手の攻撃に対して,刃物で反撃して怪我をさせた場合には,そのやり方が必要最小限度とは言えず,やむを得ずにした行為にはならないから(過剰防衛),両方とも「正当防衛」ではなく,傷害罪(又は殺人未遂罪)が成立することになるんだね。



即決裁判手続
さぁ,今回は「即決裁判手続」についてなのだ。みんな,準備はいいかな?
 即決裁判とは,殺人などの重大事件を除く争いのない明白軽微事件について,被疑者が同意することを条件に,検察官が起訴と同時に申立てを行い,裁判所の決定によって開始される簡易迅速な審理手続のことをいうよ。この手続が申し立てられた事件は,初公判をできるだけ起訴後14日以内に開かなくてはいけないし(刑事訴訟規則第222条の17),原則1日で審理から判決まで終了するので(刑事訴訟法第350条の13),こういった事件の裁判では,従来よりも大幅に時間が短縮できるんだ。
  この手続を適用できる要件は,
  ①死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に該当しない事件であること
  ②事案が明白かつ軽微であること
  ③証拠調べが速やかに終わることが見込まれること
 が必要であり(同法第350条の2),通常の裁判手続と違うところは,判決で懲役等の自由刑の言い渡しをする場合には,必ず執行猶予を付けなければならないという点だね(同法第350条の14)。また,判決に対しても, 再審の請求をする場合を除き,認定された罪となる事実に誤りがあること を理由とした上訴はできないんだ(控訴につき,同法第403条の2,上告につき,同法第413条の2)。こうした通常の裁判手続との違いから,検察官は,即決裁判を申し立てるに際しては,その事件が即決裁判手続によって裁判を行うのに相応しいかどうか慎重に検討することにしているし,そもそも,検察官は,被疑者に対して,即決裁判についてわかりやすく説明して,その同意を得なければ,即決裁判を申し立てることはできないんだ。そして,更に,被疑者が,捜査の段階で一度即決裁判に同意したとしても,裁判開始後,判決の言い渡しがあるまでは,被告人又は弁護人はその同意を撤回して,通常の手続の裁判を受けることができるようにもなっているんだ(同法第350条の11)。
  このように即決裁判手続は,争いのない明白軽微な事件について,被疑者・被告人の権利に配慮しながら,刑事裁判の迅速化と効率化を図る目的で行われることになっているんだ。



被疑者・被告人(ひぎしゃ・ひこくにん)
今回は「被疑者」と「被告人」の違いについてなのだ。
 さあ,マグーコーナーでもよく出てくる「被疑者」と「被告人」。みんなこの違いって知ってるかな?似ているようで実は全然意味が違うんだ。今日はこの二つの違いを簡単に説明するね。
 では,準備はいいマグー?
 「被疑者」っていうのは,ある犯罪を犯したという嫌疑を受けている者で,まだ裁判所に起訴されていない人のことをいうんだ。身柄を拘束されているかどうか,既に取調べを受けているかどうかに関係なく,犯罪の嫌疑がある者は,み~んな「被疑者」と呼ぶんだ。
 例えば,犯罪を犯した疑いがあるとして指名手配されて,まだ逃走している人も「被疑者」。
 そして,この「被疑者」が,捜査の結果,犯罪を犯した十分な証拠があるとして公訴を提起(つまり,起訴)されると,ここで初めて「被告人」と呼ばれることになるんだ。
 つまり,もっとあっさり言っちゃうと, 裁判所に起訴されたかどうかによって,「被疑者」と「被告人」に分かれるってことだね。ドゥ・ユー・アンダースタンド~?
 ちなみに,被疑者や被告人は,人だけじゃなく,法人の場合もあるので覚えておこう。



前科・前歴(ぜんか・ぜんれき)
今回のテーマは「前科」と「前歴」なのだ。2つはどうちがうのか,マグーと一緒に勉強しよう。
 「前科」と「前歴」。この2つは似ているようだけど,実は大きく意味合いが違うんだ。

 犯罪に該当する行為を行って,警察等の捜査機関に検挙され,それが違法行為である場合,それらは「前歴」と呼ばれるよ。

 そして,その犯罪行為について起訴され,裁判で有罪判決が言い渡されたり,略式命令(裁判官が法廷を開かずに,書面による証拠のみを検討・判断して,その結果有罪であれば,罰金や科料などを記載した書面を被告人に交付して告知する裁判のこと)の発付があって,それらが確定すると,そこで初めて「前科」と呼ばれるわけなのだ。

 じゃあ,ここで例を2つ。
 例えば,交通違反を行って切符を切られたあと,反則金を納付すれば,それは「前歴」になるんだけど,反則金を納付せずに検察庁から呼出しを受け,その違反行為について起訴された結果,裁判官が略式命令を発付して確定すると,それは「前科」になるんだ。
 では,万引き等の窃盗行為を行って検挙された場合はどうなるかな?検察庁で,今回に限り起訴を猶予するとして不起訴処分になった場合は「前歴」になるよ。でも再び同様の窃盗行為を繰り返し行って,この不起訴処分になった分と合わせて起訴され,裁判官が有罪の判決を言い渡して確定すると,それは「前科」になってしまうんだ。

 当然,「前科」や「前歴」が多ければ,次に犯罪行為を行った際,不利な情状にもなるし,前科の種類・内容によっては,法律上,刑に執行猶予を付けることができなかったり,更に重い刑を受けなければならなくなることもあるんだ。





現行犯逮捕(げんこうはんたいほ)
さぁ,今回は「現行犯逮捕」なのだ。みんな,準備はいいかな?
 この言葉はみんなもよく聞いたりするかな?なんとなくイメージはつかめているかもしれないね。今回は「現行犯逮捕」について,マグーと一緒に勉強なのだ!!

 犯人を逮捕するためには逮捕状という令状が必要であることはみんなも知っているかな。逮捕状は,警察官等の捜査官が裁判官に請求することによって発付されるよ。ただし,逮捕状の発付を得るためには,犯人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることを証明する証拠が必要となるんだ。
 そもそも,逮捕状がなければ犯人を逮捕することができないのが原則なんだ。しかし例外として逮捕状がなくても犯人を逮捕できる場合というのが,この「現行犯逮捕」なのだ。
 
 現行犯人とは,「現に罪を行い,又は現に罪を行い終わった者」を言うよ。逮捕者が現に犯罪が行われているのを目撃した場合,または現に犯罪が行われた直後の状況を目撃した場合は,逮捕状がなくても,そして捜査機関ではなくても誰でも犯人を逮捕することができるんだ。
 現行犯人の場合は,犯罪と犯人が明らかであり,誤認逮捕のおそれが少なく,速やかな犯人逮捕の必要があることから,例外として裁判官の逮捕状が必要とされないというわけさ。
 
 このほか,厳密には現行犯人ではないけれど,現行犯人とみなされる場合として,準現行犯人というのがあるんだ。
 準現行犯人とは,「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合で,かつ,
 ①犯人として追跡を受けている場合(例:スリの被害者が,「スリだ!!」と叫びながら犯人と思われる人を追いかけているのを,警察官が目撃した場合),
 ②盗品その他明らかに犯罪に使用したと考えられる凶器などを所持している場合(例:ナイフを使用した宝石店強盗事件が発生し,警察官が現場付近を捜査中,店にあった宝石とナイフを所持している者を発見した場合),
 ③身体または衣服に犯罪の顕著な証跡があるとき(例:殺人事件が発生し,警察官が付近を捜査中,血痕が付着した衣服を着ている者を発見した場合)
などを言うのだ。




故意(こい)
さて、今回のテーマは「故意」についてなのだ。
 広辞苑でこの言葉を調べると、「①ことさらにたくらむこと。心あってすること。②【法】自己の行為が一定の結果を生ずることを認識して或る行為をした場合の心理状態。犯意」となっているんだ。普段よく使うのは①の意味だよね。今回マグーが解説するのは②の「故意」、つまり法律用語の「故意」についてなのだ。

 刑法第38条第1項では、これを「罪を犯す意思」とも表現しているよ。
 現在の刑法では、特定の犯罪を除き、原則として「故意」がなければ犯罪は成立しないんだ。誤って、友達の家の花瓶を落として割ってしまったというケースでは、故意ではない限り罪にならないのさ。
 つまり、犯罪の成否を考えるとき、この「故意」があったかどうかという点はすごく重要なんだ。

 さて、実は故意の種類には、大きく分けると2つあるんだ。
 一つは、「確定的故意」で、もう一つが「不確定的故意」というよ。
 「確定的故意」とは、犯罪行為による結果を積極的に発生させてやろうと思っている場合などをいうんだ。
 例えば、Aを殺すつもりでAに向かって拳銃を発砲したというように、犯罪事実の実現を確定的なものとして認識・認容している場合などがこれだよ。あらかじめ殺害の計画を立てている場合はもちろん、相手と口論しているときにカッとなって、とっさに殺意を生じた場合でも、確定的故意があるといえるのだ。
 これに対して、「不確定的故意」とは、犯罪事実の実現を不確定ながらも認識・認容していることをいうよ。
 「不確定的故意」の代表例は、「未必(みひつ)の故意」で、確実な犯罪の結果を認識しているわけではなく、結果が発生するかもしれない、あるいは結果が発生しても構わないといった気持ちから犯罪を行う場合などがこれに当たるのさ。
 例えば、相手を積極的に殺してやろうという気持ちではなかったけれど、ひょっとしたら死ぬことがあるかもしれないが、それでも構わないと思って、鉄の棒で相手の頭を殴ったような場合には、「未必の故意」が認められるのだ。
さぁ,ここで問題だ
Q

子供の悪戯に立腹した母親Aが、同児に対して折檻を加えるうちにますます感情が高ぶり、このまま折檻を続ければ同児が死ぬかもしれないがそういう結果が発生してもそれはそれで構わないと思いながら折檻を続けたところ、同児が死亡しました。
この場合、母親Aの子供に対する殺人罪は成立するでしょうか。

A 殺人罪が成立します。
母親の子供に対する殺してやろうという積極的な意思はないものの,子供がもしかしたら死ぬかもしれないが,死んでも構わないという気持ち(「未必の故意」)が母親の中にあったと認められることから,殺人罪の故意が認められ,殺人罪が成立します。




告訴・告発(こくそ・こくはつ)
今回は「告訴(こくそ)」と「告発(こくはつ)」の違いについて解説するよ
 TVのニュースや新聞などで、「~は,○○警察署に刑事告訴しました。」とか、「~は、△△地検に告発しました。」という言葉を見たり聞いたりしたことはあるかな?今回はこの「告訴」と「告発」という2つの言葉の違いについて勉強するのだ。
 
 「告訴」とは
     1.犯罪の被害者が
     2.捜査機関に対し
     3.犯罪事実を申告して
     4.犯人の処罰を求めること
をいうよ。
 これに対して「告発」は、1の部分が「犯罪の被害者以外の第三者が」となるんだ。これが告訴と告発の違いというわけだね。
 具体例で考えてみよう。暴行を受けた人は犯罪の被害者だから「告訴」ができるね。では犯罪の被害者が暴行を受けたのを見た人はどうかな?これは犯罪の被害者以外の第三者だから「告発」ができるね。でも犯罪事実がないのに、告訴・告発をすると,虚偽告訴罪(刑法第172条)となって処罰されることもあるのだ。
 また、強姦罪、名誉毀損罪など一定の罪については「親告罪(しんこくざい)」といって、告訴・告発がなければ処罰されないことになっているのだ。被害者の処罰を求める意思が尊重されているんだね。
 それから、報道では、よく「刑事告訴」というように、告訴の最初に「刑事」を付けることが多いけれど、告訴・告発と言えば、自動的に刑事事件のことを指し、民事事件では使わないから、「刑事」という言葉は付ける必要がないのさ。
わかったかな?じゃあ問題いくよ。
Q

コンビニでアルバイト中のA君は、店長に無断で数回にわたり、コンビニの倉庫に保管してある商品を持ち帰って使っていました。そして、その事実を同店長から聞いた同じアルバイトのB君が、最寄りの警察署にその事実を告げて、A君の処罰を求めました。さて、B君のこの行為は、「告訴」と「告発」のどちらになるでしょうか?

A 「告発」になります。
もし仮に、設問にあるような犯罪事実を被害店の店長が警察に告げ、A君の処罰を求めたとすれば、犯罪の被害者が訴えたことになり、「告訴」に当たりますが、B君は、この場合、この店の単なるアルバイトで、直接の被害者ではなく、被害者以外の第三者に当たるため、この場合は「告発」となるわけです。




公判前整理手続(こうはんぜんせいりてつづき) 今回は「公開前整理手続」について説明するよ。
公判前整理手続とは、第一審の刑事裁判の前に、裁判を迅速化するために、裁判官・検察官・弁護人(希望等すれば、被告人も)の法曹三者が集まって話し合いを行い、裁判の争点整理等を行う一連の手続のことをいうよ。具体的には、検察官と弁護人の主張を裁判所が聴き、真に争いがある点(争点)はどこかを明確にし、法曹三者が一緒になって、争点を立証するためにはどのような証拠が必要か、それらの証拠をどのような方法で調べるのが相当か、などを検討するんだ。そして、公判の日程をどうするか、証拠調べにはどのくらいの時間を当てるか、証人はいつ尋問するかなど、判決までのスケジュールを立てて、できるだけ短い期間で争点に集中した充実した審理ができるようになるのさ。ちなみに、裁判員裁判の対象事件では、必ず公判前整理手続が行われることとされてるのだ。
 


                                       

未遂(みすい)今回は「未遂」という言葉について説明するよ。
 「未遂」というと、犯罪に失敗した・・・という幅広い意味を持つように感じると思うけど、法律の世界で「未遂」とは、「犯行の一部をやり始めたが、何らかの事情で、成し遂げようとしていた結果が発生しなかった」場合のことをいうんだ。  未遂を細かく分けると、「障害未遂」と「中止未遂」の2種類。  「障害未遂」とは、「外部からの障害(邪魔など)が入って成し遂げようとしていた結果が発生しなかった場合」をいうんだ。例えば、「人を殺そうとして、他人の胸に包丁を突き刺したが、致命傷を与えられず、その人を死亡させることができなかった」というのが「障害未遂」だよ。  「中止未遂」とは、「犯人が自分の意思で、犯行を途中でやめた場合」 をいうんだ。例えば、「人を殺すつもりで、他人の胸を目掛けて包丁で斬り付けたが、その人が可哀想になって途中で斬り付けるのをやめた。」というような場合がこれだね。  つまり、犯行を続けようと思えば続けることができたのに、犯人の意思で犯行を途中でやめたため、結果が発生しなかったという場合が「中止未遂」で、犯人は犯行を最後までやり遂げるつもりだったのに、犯人の意思 とは関係のない事情で、結果発生にまで至らなかった場合が「障害未遂」 なんだ。この二つの違い分かったかな?  「中止未遂」は、「障害未遂」より情状が良いことから、法律上、必ず 刑が減軽又は免除されることになっているけど、障害未遂の場合は、刑を減軽するかどうかは裁判官の判断にゆだねられているから、減軽される場合もあれば減軽されない場合もあるんだよ。
さぁ、ここで問題だ
Q

犯人Aは、被害者B君を殺すつもりで、ピストルでBの心臓を狙って1発撃ったところ、弾は、B君のお腹に命中し、B君はお腹から多量の血を流してその場に倒れ込みました。Aは、出血してもがき苦しんでいるB君を見て、自責の念にかられ、即座に倒れているB君の止血をして救急車を呼んだところ、B君は、搬送先の病院で治療を受けて、一命をとりとめました。この場合、A君には、殺人未遂罪が成立しますが、この未遂は、「障害未遂」と「中止未遂」のどちらに当たるでしょうか。

A 「中止未遂」です。
B君をそのまま放置すれば、出血多量のため死亡する可能性が極めて高かったことは明らかですが、A君は、可能であったのにもかかわらず犯行現場を離れることなく、自らB君の出血を止めたほか、救急車を呼び、その結果、B君の死亡という最悪の事態が免れたわけです。ですから、本問題のケースでは、A君の意思とは無関係に犯罪の結果が発生しなかったのではなく、A君自らの意思で犯罪の結果が発生しないこととなったため、「中止未遂」に該当し、法律上必ず減刑されることになります。




幇助犯(ほうじょはん)今回は、「幇助(ほうじょ)」という言葉と、それに関連する用語について説明するのだ。
 「幇助」とは、他人の犯罪を手助けすることをいうんだ。例えば、殺人犯人から頼まれて殺人のために使う拳銃を用意してあげた人は、殺人の「幇助犯」だよ。そして、実際に殺人を行った人のことを「正犯(せいはん)」というんだ。また、他人をそそのかして犯罪を行わせた人のことを「教唆犯(きょうさはん)」と呼んでいるよ。このように、自分の手を汚さずに、他人の犯罪を「幇助」したり(幇助犯)、他人を「教唆」して犯罪に走らせたり(教唆犯)する人のことを「共犯」と呼んでいるのさ。なお、少し紛らわしいんだけど、二人以上の「正犯」が犯罪を行った場合も「共犯」という言葉が使われるんだよ。そして、協力し合って犯罪を犯した正犯のことを「共同正犯」というのだ。
わかったかな?じゃあ問題いくよ。
Q

A君は自分の車を運転してB君とお酒を飲むために居酒屋「マグー」に行きました。少し位のアルコールであれば大丈夫と過信していたA君は、思いのほか酔いが回ってきたため車の運転を断念し、その代わりに一緒にお酒を飲んでいたB君に、車の運転をお願いしました。すると、B君は、代行車を頼むこともなく、A君に頼まれるままA君の車を運転して帰宅しましたが、その途中で、警察の検問に遭い、酒気帯び運転で検挙されました。この場合、B君は道路交通法違反(酒気帯び運転)の正犯になりますが、A君はその幇助犯に当たりますか。それとも教唆犯に当たりますか。

A 「教唆犯」です。
もともと、B君は、酒気帯び運転をするつもりはなかったのに、A君にそそのかされて、初めて車を運転する気持ちになったのですから、 A君には、B君の酒気帯び運転の共犯(教唆犯)が成立する可能性があります。しかし、B君にはA君から車の運転を頼まれる前から酒気帯び運転をする気持ちがあり、A君のそそのかしがB君の酒気帯び運転の気持ちを強めたり、手助けになったという場合ですと、A君には、B君の酒気帯び運転の共犯(幇助犯)が成立する余地があります。
管内各地検
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